語る

備忘録

少女☆歌劇 レヴュースタァライトを語る。

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少女☆歌劇 レヴュースタァライトを見ました、半年前に。

半年前に見てから今までに何周も見てるので結構ハマってしまったと思います。

現在(2020/02/14~2020/03/01)YouTubeで無料公開されています。良かったら是非。

 

少女☆歌劇 レヴュースタァライトとは

舞台とアニメから展開されるのが特徴の作品です。逆2.5次元です。

舞台に関しては詳しくないのでわかりませんがアニメとは別の内容みたいです。

公式YouTubeで公開されている動画を見た限りではストーリーやキャラの性格、声質などに違いがあるようです。

ここではアニメ版について語ります。

 

主人公の愛城華恋は有名な演劇学校の聖翔音楽学園の99期生。

舞台少女を目指したきっかけは昔、幼馴染と見た演劇「スタァライト」。ここで華恋は幼馴染の神楽ひかりと「いつか2人でスタァライトを演じる」という約束を交わします。

そんな幼馴染のひかりが転校してきたこときっかけで参加することになったキリンのオーディション。

オーディションなので合格者を決めるのですがその決め方は「レヴュー」と呼ばれる公演。簡単に言うと舞台少女同士で武器を持ち、戦うことで勝者を決めます。

この「レヴュー」で最もキラめきを見せた舞台少女は永遠の主役、「トップスタァ」への道が開かれます。

幼い頃の約束のため、「トップスタァ」になるため戦う主人公たち舞台少女のお話です。

「トップスタァを目指して、歌って、踊って、奪い合いましょう」というキリンの言葉通り少女たちの戦い、想い、夢がぶつかり合う作品でありただのミュージカルアニメではありません。 急に歌い出すとかはないです。舞台版は知りませんが。

 

一見ただの百合アニメに見えますが実は深く考えさせられることも多く、特に「終わりは悲しいもの」という考えに一石を投じる作品です。

 

 

感想

正直言うと神楽ひかりと星見純那のレヴューの下りを見るのが苦しくてリアルタイムで見ていたときは3話あたりで切りました。

絶対自分好みの作品だろうなあと思いながらその後も何回かチャレンジしては同じあたりで挫折してを繰り返しました。

時は経ち、再び見始めたきっかけはアニメショップに売っていたエンディングのイラストのクリアファイル。一目惚れで購入しました。

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そしてたどり着いた5話、詳しくは後述しますが愛城華恋と露崎まひるの回で一気に引き込まれ、ここから流れるように全話見てしまいました。

5話、6話ではレヴューを行う2人の関係がしっかりと描かれていますしそれ以降の話は物語の核心に迫っていくので沼にハマれる展開だと思います。

 

自分はミュージカルのような急に歌い出すところが好きではありません。

この作品にもミュージカルと同じようなコンセプトで劇中歌を使っているのだと思いますが「レヴュー曲」として流すこと、キャラが歌うシーンを抑えめにしていることで違和感なく歌を浸透させます。これが「歌って、踊って、奪い合いましょう」の「歌って」の部分です。

「踊って」はレヴューにあたります。4話までのレヴューは前置きがほぼないので何をやっているの?となります。勿論1周見終えてから再び見ると意味がわかって面白いですが。

5話以降みたいにレヴューに至るまでのストーリーがあると楽しめました。戦う姿はカッコいいですしレヴュー自体は悪くないです。

「歌って」と「踊って」とは一見全く繋がらないように思える「奪い合いましょう」というワード。これは物語後半で明らかになります。

 

 

作画も気にならない、シナリオも良い、と見て損はない作品だと思います。

所謂闇の深いエピソードもあるのでそういうのが好きな人はぜひ見てください。

そうでなくてもとりあえず5話、6話まで見て欲しいです。

 

 

 

 

 

 

 

以下ネタバレありで語ります。

 

 

 

 

 

 

OP「星のダイアローグ」

オープニングらしく明るい曲。

「確かにあの日見たんだ」、「キミに逢えた もう一度」、「光のない舞台袖」といったようにひかりと再会したあとの華恋のことを歌ってる曲で「キラめき」や「生まれ変わった」、「star light」といった物語のキーワードも含まれています。

私服の九九組が歩くところの髪下ろしばななが可愛い。

 

ラストのサビの「あの頃には戻れない 何も知らなかった日々」っていう歌詞が好き。

舞台少女は日々進化中!が口癖の華恋らしさがあります 

 

第1話 舞台少女 ~第4話 約束タワー

特に共通の流れがあるわけではないですが長々と話すこともないので4話まとめて語ります。愛城華恋のレヴューへの参加、トップスタァになるための動機づけ、そして初めての敗北というのが大まかな流れです。

1話の神楽ひかりと星見純那、2話の愛城華恋と星見純那のレヴューは物語冒頭ということで尺を他に割かないといけない、星見純那の掘り下げに時間をあまり使えないという感じでかわいそうでした。2話は純那のメイン回でしたが純那の相手がひかりや華恋である必要を感じませんでした。じゅんななのレヴューが見たかった。

あれだけメガネ推しのレヴューだったのにその後メガネネタがあまり出てこないのでもう一周するまで忘れてました。印象が薄いです。しかも両方純那が負けてるし不遇です。

純那は舞台少女になりたいという想いはあれど実力が伴っていない描写が目立つのでその不憫さを楽しむのもまた良しと言えます。

 

3話の愛城華恋と天堂真矢のレヴューは絶対的な強さの真矢様がカッコいいので悪くはないです。

ここでは首席、天堂真矢の強さを示すのがメインの要素だと思っていて絶対的な強さ故にラスボスになるので多少ミステリアスさを残しておく必要があります。なので天堂真矢の強さが何から来るのかなんてことよりも華恋の敗北を主に語られます。

 

レヴュー曲は順に「世界を灰にするまで」、「The Star Knows」、「誇りと驕り」。「誇りと驕り」は言うまでもなく真矢様がカッコいいです。

「世界を灰にするまで」の華恋乱入シーンでBPMが急上昇するが良いです。

 「The Star Knows」は純那のパートの言葉を否定するように華恋のパートが入るギミックがあって面白いです。

 

第5話 キラめきのありか

露崎まひるは同部屋の愛城華恋に友達以上の感情を持っていました。

だらしない華恋の周りの世話をすることにやりがいを感じていましたが神楽ひかりが転校してことで華恋はこころを入れ替えて生活するようになります。

まひるは華恋がひかりに取られたと思って憤りを感じます。

しかしその日のレヴューですべて解決、という言葉にしてしまえばそれだけの話です。

 

 

単純に好みなんですよね、ヤンデレみたいなの。

 

(~4:08)

 

 

第5話で開かれるのは華恋とまひるの「嫉妬のレヴュー」。これがめちゃくちゃ良いんです。

最初はポップに始まります。

まひるの1人劇場、そして始まる野球調のレヴュー。他のレヴューも巻き込んで華恋とまひるは舞台を駆け回ります。

このあたりで今回のレヴュー曲「恋の魔球」の前奏がやっと終わります。歌はまひるのパートから始まり華恋に対する思いが紡がれます。

 レヴューの舞台は演者のキラめきで動きます。まひる中心に舞台は進むので今回はまひるの華恋への愛情がキラめきの源なのでしょう。

 

そしていつの間にかシリアスなシーンに。2人は舞台裏で語り合います。

また私にお世話やかせてよ!

まひるは華恋に想いをぶつけ、華恋はそれに答えます。

レヴュー曲は華恋のパートへ。ひかりとの約束について語ります。

 

幕が上がり歌は2人のパートになります。2人はそれぞれサーベルを、メイスを、火花散るほどに撃ち合いながら

回る回るステージで

本気出してぶつかってる

こんなことは初めてだよね

なんて歌います。めちゃくちゃアツい。

仲の良い友達同士で躊躇なく殴り合うのがカッコいいんです。

 

そして舞台はもう一度まひるの語りと歌のシーンへ。物語は佳境に入ります。

ねえ私だけを見ててよほら小さな光なんて真昼になれば消えてしまう

という歌詞。

 

私には何もないの!自信も才能もキラめきも。華恋ちゃんのキラめきがないと何も出来ない。

というセリフ。

 

レヴュースタァライトの楽曲には「光」というワードが頻繁に出てきます。

当然ほとんどが神楽ひかりのことでそれはこの「恋の魔球」でも例外ではありません。

ですが「光」に対してネガティブな感情を持っているのは「恋の魔球」だけです、多分。自分の把握している限りでは。

ひかりよりもまひるのほうがいいよ、とかそんな感じの意味です。

 

そして歌が間奏に入ると華恋はまひるの「何もない」という考えを否定します。

まひるちゃんが何もない?ノンノンだよ。キラめいてるよ。

なりたいものがあるからこの学校に来たんでしょ?

スタァを目指してこのオーディションに参加したんでしょ?

まひるちゃんにもあるでしょ?まひるちゃんのスタァライトが!

華恋は朗らかが言えませんでしたがまひるは舞台に立つ理由、スタァを目指す理由を取り戻しました。

朗らかというのは雲もなく晴れやかな様を言います。まさにまひる、そして真昼にぴったりな言葉です。

 

ここの2人で歌う

夜が明けて真昼になるよ

って歌詞が良いんです、とても。

1サビでもまひる1人で同じ歌詞を歌っていますがまだそこでは華恋に依存している悪いまひるの気持ち。

しかし終盤の考えを改めたシーンでまひると華恋の2人が歌うことでポジティブさが増します。

 

そして気がつくと歌はラスサビに入っています。華恋とまひるのデュエット。2人が同じパートを重ねてるだけなので厳密には違うかもしれませんが。

語り終わって華恋のホームラン予告。2人は1塁と3塁に飛び、互いに向かって走り出します。

そして華恋の一閃。

まひるのボタンが0の並ぶスコアボードに当たりボードは回転、そして9回裏に1点が入ります。サヨナラホームランでゲームセットです。

まひるの心が揺らいだこと、華恋がまひるに対する思いをぶつけたこと、華恋が舞台に立つ理由を再確認したことなどが華恋の勝利、つまりキラめきが上回ったことの理由と考えます。

 

大切な人たちを笑顔にできるような温かいスタァになりたいです。

これが聖翔音楽学園入学前のまひるのスタァを目指す理由。まさに可愛くてあったか、そしてとーっても朗らかなんです。

あとビデオの中のちょっとだけ今より幼いまひるちゃん良いよね。

華恋のためではなく自分やみんなのためスタァになるという主人公以外である露崎まひるの心の変化を描く、アニメ中間あたりの話によくあるいわゆる〇〇(キャラ名)回としては完璧です。

嫉妬という誰でもわかるシンプルな感情。それに対して想いをぶつけあう。

ただシリアスなだけでなくたまに差し込まれるコミカルさで胸焼けもしません。 

 

しかしこの作品の主役は愛城華恋と神楽ひかり。そこに露崎まひるが入る余地はなく負けヒロインになる運命にあります。

この回のED「Fly Me to the Star」は露崎まひるただ1人で歌います。

華恋への依存からの脱却と考えるとエンディングを1人で歌う寂しさも紛らわせるのかなと思います。

 

第6話 ふたりの花道

 この話の主役は2人、花柳香子と石動双葉。

花柳香子は良いところのお嬢様、石動双葉は花柳家のお手伝いさんの娘だったので昔からずっと一緒。

舞台少女を目指す香子の付き添いで入学した聖翔音楽学園で双葉は次第に自分も舞台に立ちたいと思うようになります。

いつも後ろをついてきていた双葉がいつのまにか自分に追いつこうとしている状況に戸惑う香子。

そんな2人の仲違いを今回もレヴューで解決します。

 

香子と双葉の関係は作中でも何回か対比されたように天堂真矢と西條クロディーヌの関係に似ています。

相違点は以下の通りです。

  • 元の実力が低かった分2人の成長が顕著に見られる
  • 幼馴染なのでお互いをよく知っている
  • 本音を遠慮なくぶつけあうことができる

真矢クロにはシンプルな強さと対立がありますがふたかおはそれよりもかなり緩い関係にあります。

 

 

今回のレヴューは「約束のレビュー」。

レヴュー曲は「花咲か唄」、演歌調のイントロから一変して高いBPMで詞が紡がれます。

追われる香子に追いついた双葉。2人のことを唄うレヴュー曲、そして舞台への想いをぶつける双葉。その想いに応えるように改心する香子。

類稀な2人が主役のレヴューと言えます。

心を入れ替え自らの上掛けを落とそうとする香子、止める双葉。

止めに来た双葉に不意打ちをするも失敗しますが香子は本気で打ったつもりではなかったのかもしれません。

本音を打ち明けてくれた双葉のために、追ってくる人のために香子は成長することを決意しキラめきます。

この2人も一緒に舞台に立つことを決意します。

この物語の核とも言える2人で舞台に立つということ。

舞台の中心ポジションゼロに立てるのはただ1人です。

しかし華恋とひかりの夢に対する一つの答え、2人は競い合っても奪い合わなくてもいい、ということを香子と双葉は示してくれます。

ただの仲良しではない、お互いを昔から知っていて遠慮なく想いを伝えられる香子と双葉だからこその答えだと思います。

 

第7話 大場なな ~第9話 星祭りの夜に

このアニメの1つ目もメインになるお話、大場ななとオーディションについて第7話から第9話まで語られます。

第7話ではタイトル通り大場ななについて。ここでばなながループを起こしていることが知らされます。

第8話では大場ななと神楽ひかりのレヴュー。イギリスのオーディションで失ったひかりのキラめきが再生産されます。

第9話では愛城華恋と大場ななのレヴュー。これでループから完全に脱出し3話も続いたばなな回は 終わります。

 

まずは大場ななのルーツが語られる第7話、始まりは1回目の第99回聖翔祭後です。

ばななもキリンのオーディションを知らない、つまりループ1周目の話です。

 

 

第99回聖翔祭は大場ななが舞台少女としての自覚を持った初めての出来事。

時には天堂真矢に怒られながら、時には愛城華恋に断られながら大場ななはスタァライト第一回公演に魅入ってしまいました。舞台少女でありながらスタァライト第一回公演以外の舞台には興味ないと言うほどに。

トップスタァになればどんな舞台にも立てる、とキリンに唆されて始まった1回目のオーディションでは天堂真矢に勝つほどのキラめきを放ちます。

それほど大場ななは第99回聖翔祭のスタァライトの再演を望み、トップスタァとなったことでそれは実現されます。

 

ばななが同じ行動をしなかったからなのか、それとも第一回公演を神格化してしまったからなのかはわかりません。後に語られますが結局第一回公演が一番のスタァライトだったようです。

この再演の途中で「再演の中にみんなを閉じ込めて外の世界から守る」という感情が生まれます。ばななにとってはそこに至る過程や演者を含めてのスタァライト第一回公演なのです。

第7話のEDは大場ななのイラストこそ流れますが歌はありません。インストゥルメンタルです。

他ではみんなキラめきに手を伸ばした描写ですが大場ななはキラめきに足で触れます。

大場ななも舞台少女なのでこの描写をキラめきを踏みにじっていると考えるのは間違いだと思っています。手とは遠い場所として足で触れていると考えて他の舞台に対するキラめきを求めていないと捉えるべきです。

 

次に語られるのはループを壊すきっかけの一つである神楽ひかりの過去。

オーディションではトップスタァに参加者のキラめきを奪われてしまうことが明かされます。

神楽ひかりが態度に反してそれほど強キャラとして描かれなかったのはキラめきを失っているからでした。キラめきとは舞台少女の一番大事なもの、失ってしまえば舞台には立てません。

イギリスでキリンのオーディションに参加した神楽ひかりは共に舞台に立つと誓った愛城華恋を守るために日本に向かいます。なぜばななのループに入ってこれたかはわかりません。

キラめきを失ってもオーディションを続ける神楽ひかり。1人目のラスボスと言える大場ななとの「孤独のレヴュー」でキラめきの再生産が起こります。レヴュー曲は「RE:CREATE」まさに再生産です。

キラめきってなくなってもまた生まれるならやりたい放題じゃない?とは思いますが華恋がいたからこそひかりのキラめきが再生産出来たのではないかと考えます。

結果はひかりの勝ち。その裏で華恋も西條クロディーヌを下します。

華恋がクロディーヌに勝っているように今回はひかりの再生産されたキラめきが単純にばななのキラめきを上回ったと考えます。

イギリスに留学していたひかりが弱い訳ありません。弱いのに態度がデカい人ではなかったのです。

 

イレギュラーであるひかりとのレヴューに負けてやけになってしまったからなのか、ループのネタばらしもしたので隠す必要がなくなったのか、第9話ではばななが低いトーンで意味ありげに話す描写がよく見られます。

第100回聖翔祭に向けて準備を進める99期生。それに抗う大場なな。

ずっと1人だったばななにとっては初めての舞台、最高の仲間。それを守るために再演を諦めません。

スタァライトの劇が初めて最後まで上演されたのがこの回でスタァライトの結末が悲劇であることが明かされます。フローラとクレールは離れ離れになってしまいます。

 

再演を邪魔してるのはイレギュラーである神楽ひかりではなく、神楽ひかりの乱入によってキャストから外されたはずの愛城華恋ではないか、とばななは考えます。

そして始まるのは大場ななと愛城華恋の「絆のレヴュー」、レヴュー曲は「星々の絆」。

愛城華恋は存在しない9人目。神楽ひかりとの再会で以前とは全く違う想いを抱きます。

舞台少女は舞台によって生まれ変わると言う華恋と第99回スタァライトにしがみついて停滞する大場ななとの対比が素晴らしいです。

レヴューはあっさりと終わります。勝ったのは当然華恋。

再演をする度にスタァライト第一回公演が遠のいていくことをわかっていたみたいなのでばななも本当は次の舞台に向けて変わっていくべきだと気づいていたのでしょう。

変わっていくみんなも魅力的だともレヴュー後に星見純那に話しています。ここの純那とばななの絡みめちゃくちゃ良くないですか?

第9話のEDは大場ななと星見純那。歌うのは2番の歌詞です。ここでも大場ななの特異性を見ることが出来ます。

 

再生産と再演。似たような言葉だけれども真逆の意味です。

まだ見ぬ未来の舞台を求めた華恋と過去の輝かしい舞台を求めたばなな。なぜ純那とばななではなく華恋とばななのレヴューでループが終わるのだろうと思いましたが再生産と再演の対比と考えると納得できます。

テーマとしてはメインを張るにふさわしいですがここから華恋とひかりの舞台を目指さなければならないので途中経過として中盤で終わります。

ここまで重いテーマをあっさりと中盤で切り上げるなんてここからどんな話になるの!?と楽しみにして見ていました。

5/29公開の総集編映画は再演視点の話なのでもっとばななが深堀りされるのを楽しみにしています。

 

以降は勝利した再生産に重きが置かれた話になります。

 

第10話 されど舞台は続く The Show Must Go On ~第12話 レヴュースタァライト

 物語はラストスパート。10話で華恋とひかりの勝利が決まります。

ここは王道の流れで言うまでもなく素晴らしいので割愛します。レヴュー曲「Star Divine」はアニメVer.とCDVer.があります。

真矢クロのキラめきを見て「負けていられない」って言える純那ちゃん、カッコいい。

 

注目すべきはその後の11話と12話。「2人の舞台」に対する答えを11話では神楽ひかりが、12話では愛城華恋がそれぞれ示します。

10話では不意打ち的に神楽ひかりがトップスタァになりました。

ひかりの答えは「運命の舞台に必要なキラめきを自分1人だけで担うこと」。自分を犠牲にして華恋のキラめきを奪わないことを選びます。自分を地下劇場に幽閉させることによってみんなのキラめきを守ります。

ひかりは華恋と奪い合ういつかを想定している描写がありました。2人で立つ舞台を諦めたというよりかは現実主義といってあげたいです。

しかし華恋のキラめきはひかりとの約束があるからこそ生まれるもの。ひかりの狙いと反して華恋だけがキラめきを失ってしまいました。

 

一方の華恋は11話Bパートでひかりを運命の舞台から助けに行きます。ここで流れるのは「舞台少女心得 幕間」。99期のみんなが華恋を送るシーン、一番好きです。仲間たちの「舞台で待ってる」という言葉を背にひかりの舞台に飛び入ります。

1人でスタァライトを演じ続けるひかり。華恋の言葉を無視してでも1人でスタァライトを続けるのは華恋のキラめきを奪いたくなかったから。

そして華恋はあの約束を口にします。

帰ろう、ひかりちゃん。

私達のスタァライトはまだ始まってない!

 

バカ、バカバカ バッ華恋。

いつもいつも飛び入りでどうして、どうして会いに来るのよ。

会いたくなっちゃうじゃない。

地下でずっとスタァライトを演じ続けていたひかりのセリフが止まり舞台が途切れます。遂に華恋に口説き落とされ最後のレヴューが始まります。 

 

レヴュー名は「星罪のレヴュー」。星摘みとかかっています。

レヴュー曲は「スタァライト」。8分くらいある楽曲ですが歌詞は一番短いです。

ひかりは華恋を守るため、華恋はひかりを助けるため、互いに刃を向けます。

 

キリンは第四の壁に向かって語りかけます。第四の壁を認識しているキリン、一体何者なのでしょうか。

なぜ私が見ているだけなのかわからない。わかります。

舞台とは演じるものと見るものが揃って成り立つもの。

演者が立ち、観客が望む限り続くのです。

そう、あなたが彼女たちを見守り続けてきたように。

私は途切れさせたくない。

舞台を愛する観客にして運命の舞台の主催者。

舞台少女たちの永遠の一瞬、迸るキラめき。

私はそれが見たいのです。

そう、あなたと一緒に。わかります。

キリンは観客、つまり視聴者を体現したものであると言えます。確かに途切れさせたくないですし永遠の一瞬や迸るキラめきが見たいです。私達が数多の作品を見てきたようにキリンも彼女たちを見たいがためにオーディションを世界中で開催していたのでしょう。

 

レヴューの話に戻ります。華恋の上掛けは落とされ華恋は敗北します。華恋を傷つけてでもキラめきを失わせたくないひかりとひかりを兎に角助けたい華恋、覚悟の違いはあったと思います。

しかし流石はイレギュラーの愛城華恋。なんと上掛けまで再生産してしまいます。

ノンノンだよ。

ずっと幽閉されてたんだね。私達の罪を背負って。

待っててね、クレール。あなたを取り戻しに行くから!

スタァライトは必ず分かれる悲劇。

でもそうじゃなかった結末もあるはず!

塔から落ちたけど立ち上がったフローラもいたはず!

クレールに会うために、もう一度塔に登ったフローラが!

アンコールが起こり終わったはずの舞台の続きが始まります。キリン曰く運命の舞台の再生産です。

フローラとはローマ神話の花と豊穣を司る女神の名前、つまり愛城華恋のことです。

同様にクレールとはフランス語で光があって明るいこと、つまり神楽ひかりのことです。

2人の名前を冠した主人公なのでまさに運命の舞台と言えます。

スタァライトの結末は悲劇、ですが必ずしもそうである必要はないのです。時には演者が勝手に書き換えても良いのです。

 

奪っていいよ!私の全部!

奪われたって終わりじゃない。なくしたってキラめきは消えない!

舞台に立つ度に何度だって燃え上がって生まれ変わる!

華恋のキラめきを奪いたくないひかりに対して華恋はこう返します。

これが華恋のずっと説いていた再生産です。舞台の数だけ自分の演じる役があり、その度に生まれ変わる。これはばななとの戦いで学びました。

舞台装置は華恋のキラめきに反応し崩れた舞台を再び繋げます。キリンも大興奮です。

バカ、バカバカ バッ華恋。

これじゃあ華恋と

スタァライトしたくなっちゃうじゃない。

遂にひかりの心は折れ華恋と共に舞台に立つ決心をします。

画面比は映画のようになり舞台は最初の運命の舞台になります。

 

星屑溢れるステージに 可憐に咲かせる愛の花

99期生 愛城 華恋 あなたをスタァライトしちゃいます

「みんな」ではなく「あなた」になっています。なぜなら他のみんなはもう「スタァライト」しちゃったからです。

 

生まれ変わったキラめき胸に 溢れる光で舞台を照らす

99期生 神楽 ひかり 私の全て奪ってみせて

神楽ひかりの参加によって変わったのは華恋だけではありません。ひかりの変えた華恋の影響で前の周とは違った99期生になりました。キラめきを取り戻したひかりは99期生の光になったと言えます。

これでやっと「星のダイアローグ」などの楽曲にある「光」というワードと繋がります。

これはおそらく省略形の口上なのでフルで聞いてみたいです。

 

最後に落ちたのはひかりの上掛け。ひかりも華恋との幼い頃の約束を望みます。

手を繋いで寝転ぶ2人の真ん中には「ポジションゼロ」。

 

最後のレヴューも終わり時は進んで第100回聖翔祭。ここで演じられるスタァライトも再生産され、ハッピーエンドに書き換えられました。フローラとクレールを演じるのは華恋とひかり、これで約束も叶いました。

フローラとクレールは再会し、「あなたの望んだその星」はお互いのことだと気づいて舞台は終わります。

 

口上

レヴューの初めにある自己紹介のようなものです。

しかしうまくそのキャラの想いや夢を描いていてカッコよく、そしてお洒落でもあります。これも一つの芸術作品です。

劇場版総集編では他のバージョンの口上を聞いてみたいです。

 

星屑溢れるステージに 可憐に咲かせる愛の花

生まれ変わった私を纏い キラめく舞台に飛び込み参上

99期生 愛城 華恋 みんなをスタァライトしちゃいます

第1話、神楽ひかりと星見純那のレヴューに乱入したときに言った作中初めての口上。

何回も言うことになるので2行目は度々カットされます。

1行目は何度も言ってますが2行目は1話でしか言っていません。

スタァライトする」とは何のことだと思いましたか?

 

人には運命の星がある 綺羅星、明け星、流れ星

己の星は見えずとも 見上げる私は今日限り

99期生 星見 純那 掴んでみせます自分星

一番カッコいい口上。オシャレ。運命は「さだめ」と読みます。

この話のキーワードでもあり純那自身の名前にも入っている「星」というワードをうまく使った口上だと思います。 

綺羅星」とは空に輝く無数の星、「明け星」とは夜明けの金星という意味です。「流れ星」はみなさんご存知なので割愛。

いつか自分星を掴んだ純那ちゃんが見たいです。

 

星の輝き 星の愛

数多の光集めて今 あなたの心に届けましょう

99期生首席 天堂 真矢 今宵、キラめきをあなたに

99期の首席、天堂真矢の口上。さすがナンバーワン。

「夢は見るものではなく魅せるもの」と言ったように舞台少女とは自分を成長されるものではなく誰かに影響を与えるものだと考えているようです。こんなことが言えるのも圧倒的な実力があるからです。

 

キラめく舞台が大好きだけど キラめくあなたはもっと好き 

回る回るデュエットでずっと二人で踊れたら 

99期生 露崎 まひる ずっとそばにいたのは私なんだよ

華恋ちゃん大好き露崎まひるの口上。おそらく対華恋専用。

幻想的というかロマンティックというか女の子らしいというか、キュンキュンします。

一方、病的で盲目なヤンデレの匂いもします。好き。

 

舞台に踊りに行き帰り 歩み進んだ二人道

だけどあたしも見つけちまった 夜空に聳える一本道

99期生 石動 双葉 気合い入れて突っ走ります

99期生 花柳 香子 最後まで付きおうてもらうで

香子と双葉の合体口上。当然お互い以外が相手だと別のこと言ってそう。

ふたかおって感じだ。 

 

強く掲げた手のひらすり抜け 奈落に落としたあの日の誓い

再び登る運命の舞台 例え悲劇で終わるとしても

99期生 神楽 ひかり 全てはスタァライトのために

キラめきを失ったひかりの口上。全体的にネガティブ。

ここでの運命も「さだめ」と読みます。 

ひかりは常に華恋と戦ういつか、つまり悲劇をイメージしてレヴューに望んでいましたが2人で舞台に立つという華恋の想いが叶ったので悲劇では終わりませんでした。

 

舞台に実ったたわわな果実

だけどみんな柔らかだから 誰かが守ってあげなくちゃ

99期生 大場 なな 私が守るの ずっと何度でも

ずっと強キャラ臭がしていた大場ななの口上。1周目のレヴューでは別のこと言ってそう。

自分がスタァライトを演じていたいというよりもみんなを外の世界から守りたいという気持ちが強めになっています。

 

輝くチャンスは誰もが平等

だから愛のダンスで誰より熱く 自由の翼で誰より高く

99期生次席 西條 クロディーヌ C'est moi, la star!

終盤でやっと出てきた西條クロディーヌの口上。イメージカラーはオレンジですがなかったので代用しています。

平等、愛、自由はフランス国旗から来ています。最後の言葉もフランス語で「スタァになるのは、この私!」と作中で訳されています。

 

強く掲げた手のひらに 可憐に咲かせる愛の花

例え悲劇で終わるとしても キラめく舞台に飛び込み参上

99期生 神楽 ひかり 99期生 愛城 華恋

みんなをスタァライトしちゃいます

ひかりと華恋の合体口上。登場順ではクロディーヌの前。

「みんなをスタァライトしちゃいます」は2人で言います。

ネガティブなひかりの口上が華恋の口上でポジティブになります。

2つを繋げても意味が通るの凄いです。

 

 

印象に残っているセリフ

名言というかめちゃくちゃ印象に残ってるなというセリフです。言葉運びも素晴らしい作品です。

 

一生懸命やっても全然追いつけない。

どんなに努力しても追いつけない距離。

だからって諦められるわけないじゃない。

第2話 運命の舞台から。練習中に倒れて保健室で目が覚めたときに漏らした星見純那のセリフ。

天才でもないし才能もあるわけじゃない純那の魅力が詰まったセリフ。

凡人の苦悩です。

結果が出ない星見純那ですがそんなところが良いところだと思い始めました。

 

私は1人でもスタァだ!

第3話 トップスタァから。このセリフの後に天堂真矢は愛城華恋の上掛けを落とし勝敗を決します。

短い言葉ですがトップスタァになるには何かを犠牲にしなければならない、何かを犠牲にしたからには常にトップに立ち続けなければならないという真矢様の誇りを感じることが出来ます。

決して友達がいないとかそういう話ではありません。

 

やーっと止めてくれた。

おおきに 双葉。

第6話 ふたりの花道から。自らの上掛けを落とそうとしたところを石動双葉に止められた花柳香子のセリフ。

 「双葉はん」ではなく「双葉」。呼び方で共に運ぶ言葉の意味が変わってたりしそうですよね。

 

届かなくて眩しい。

第7話 大場ななから。初周のレヴューで首席、天堂真矢を下した後の大場ななのセリフ。

真矢様に勝ったのに切なげにそう語るばななにゾッとしました。

同時に過去の舞台というのはそれほど遠く輝かしいものだということがわかります。

 

ノンノンだよばなな。

舞台少女は日々進化中 同じ私達も同じ舞台もない。

どんな舞台も一度きり、その一瞬で燃え尽きるから、

愛おしくてかけがえなくて価値があるの。

一瞬で燃え上がるから舞台少女はみんな、

舞台に立つ度に新しく生まれ変わるの。

第9話 星祭りの夜にから。大場ななのループに対する華恋の返答。

「生まれ変わる」というワードは前述の通りレヴュースタァライトにおいてはセリフや歌詞でよく出てきます。

舞台少女は舞台ごとに演じるものが違いそれぞれの役になりきることを「生まれ変わる」という言葉で表現します。

別れがあるから出会いがある、的なよくある言葉ですが初めてこの言葉の意味を理解したような気がします。

 

エンドロールは寂しいですがまた次の素晴らしい作品を見つけるために必要なことです。この作品を通して「終わり」に対する価値観が変えることが出来ました。

先行きのなくなったコンテンツを沢山知っていますがそれも悪くないのかな思います。

本当はもっと再演をしていたいのですが素晴らしい舞台でした。